中小企業経営強化税制経営革新
設備投資を検討されている方、設備投資に関する優遇措置を受けたいとお考えの方
■ 中小企業経営強化税制の概要
中小企業の設備投資による企業力の強化や生産性向上を後押しする制度として平成29年度税制改正において創設された「中小企業経営強化税制」は、税制改正を重ね、その適用期限が2025年(令和7年)3月31日(注1)まで延長されています。
本税制を利用すると、特別償却(即時償却)又は税額控除(取得価額の10%または7%)のいずれかが選択可能です。
(注1) 2023年(令和5年)3月31日までに、本税制の適用要件を満たす新品の設備等(特定経営力向上設備等)を取得・製作・建設して、事業の用に供する必要があります。
特別償却と税額控除
- 特別償却 …
- 通常の減価償却費とは別に、取得価額に一定割合を乗じて計算した金額の費用を追加計上ができる制度。本税制では、取得価額の“全額”をその事業年度または年分の経費に計上することが可能。
- 税額控除 …
-
納めるべき税額から取得割合に一定割合を乗じて計算した金額を直接控除する制度。本税制では、取得価額の10%又は7%相当額の税額を減額することが可能。
- <適用上のPoint>
法人税額等の減税効果を前提とした場合、特別償却と税額控除のいずれにメリットがあるのかについては、どの時点の効果を見るかにより変わってきます。 資産を取得等した初年度においては、特別償却の方がメリットが大きいといえます。しかし、特別償却は、最終的には初年度減税額の金利メリットしかありません。 一方、税額控除は恒久的減税制度であるため、取得資産の耐用年数の全期間を通してみれば、税額控除の適用を選択した方が有利になります。
■ 税制利用シミュレーション
前提条件
- ・投資額を6,000千円とし、その他の損益は3年間同様として計算しています。
- ・表示は「税抜金額」、単位は全て「千円」とし、実効税率を「30%」と仮定して計算しています。
- ・その他詳細な前提を省いて説明しています。全ての事業者に上記の効果が認められるものではありません。
- ◆ 税制利用しない場合
-
1年目 2年目 3年目 3年間合計 (1)売上高 100,000 100,000 100,000 300,000 (2)費用 ① 減価償却費 2,000 2,000 2,000 6,000 ② 特別償却 0 0 0 0 ③ その他経費 69,000 69,000 69,000 207,000 (3)利益((1)-(2)) 29,000 29,000 29,000 87,000 (4)税額((3)*30%) 8,700 8,700 8,700 26,100 (5)税額控除 0 0 0 0 (6)差引税額
((4)-(5))8,700 8,700 8,700 26,100 - (1)売上高
- 1年目: 100,000
- 2年目: 100,000
- 3年目: 100,000
- 3年間合計: 300,000
- (2)費用
- ① 減価償却費
- 1年目: 2,000
- 2年目: 2,000
- 3年目: 2,000
- 3年間合計: 6,000
- ② 特別償却
- 1年目: 0
- 2年目: 0
- 3年目: 0
- 3年間合計:0
- ③ その他経費
- 1年目: 69,000
- 2年目: 69,000
- 3年目: 69,000
- 3年間合計: 207,000
- (3)利益((1)-(2))
- 1年目: 29,000
- 2年目: 29,000
- 3年目: 29,000
- 3年間合計: 87,000
- (4)税額((3)*30%)
- 1年目: 8,700
- 2年目: 8,700
- 3年目: 8,700
- 3年間合計: 26,100
- (5)税額控除
- 1年目: 0
- 2年目: 0
- 3年目: 0
- 3年間合計:0
- (6)差引税額((4)-(5))
- 1年目: 8,700
- 2年目: 8,700
- 3年目: 8,700
- 3年間合計: 26,100
- ◆ 税制適用例1:特別償却の場合
-
1年目 2年目 3年目 3年間合計 (1)売上高 100,000 100,000 100,000 300,000 (2)費用 ① 減価償却費 2,000 0 0 2,000 ② 特別償却 4,000 0 0 4,000 ③ その他経費 69,000 69,000 69,000 207,000 (3)利益((1)-(2)) 25,000 31,000 31,000 87,000 (4)税額((3)*30%) 7,500 9,300 9,300 26,100 (5)税額控除 0 0 0 0 (6)差引税額
((4)-(5))7,500 9,300 9,300 26,100 - (1)売上高
- 1年目: 100,000
- 2年目: 100,000
- 3年目: 100,000
- 3年間合計: 300,000
- (2)費用
- ① 減価償却費
- 1年目: 2,000
- 2年目: 0
- 3年目: 0
- 3年間合計: 2,000
- ② 特別償却
- 1年目: 4,000
- 2年目: 0
- 3年目: 0
- 3年間合計: 4,000
- ③ その他経費
- 1年目: 69,000
- 2年目: 69,000
- 3年目: 69,000
- 3年間合計: 207,000
- (3)利益((1)-(2))
- 1年目: 25,000
- 2年目: 31,000
- 3年目: 31,000
- 3年間合計: 26,100
- (4)税額((3)*30%)
- 1年目: 7,500
- 2年目: 9,300
- 3年目: 9,300
- 3年間合計: 26,100
- (5)税額控除
- 1年目: 0
- 2年目: 0
- 3年目: 0
- 3年間合計:0
- (6)差引税額((4)-(5))
- 1年目: 7,500
- 2年目: 9,300
- 3年目: 9,300
- 3年間合計: 26,100
- ◆ 税制適用例2:税額控除の場合
-
1年目 2年目 3年目 3年間合計 (1)売上高 100,000 100,000 100,000 300,000 (2)費用 ① 減価償却費 2,000 2,000 2,000 6,000 ② 特別償却 0 0 0 0 ③ その他経費 69,000 69,000 69,000 207,000 (3)利益((1)-(2)) 29,000 29,000 29,000 87,000 (4)税額((3)*30%) 8,700 8,700 8,700 26,100 (5)税額控除 600 0 0 600 (6)差引税額
((4)-(5))8,100 8,700 8,700 25,500 - (1)売上高
- 1年目: 100,000
- 2年目: 100,000
- 3年目: 100,000
- 3年間合計: 300,000
- (2)費用
- ① 減価償却費
- 1年目: 2,000
- 2年目: 2,000
- 3年目: 2,000
- 3年間合計: 6,000
- ② 特別償却
- 1年目: 0
- 2年目: 0
- 3年目: 0
- 3年間合計: 0
- ③ その他経費
- 1年目: 69,000
- 2年目: 69,000
- 3年目: 69,000
- 3年間合計: 207,000
- (3)利益((1)-(2))
- 1年目: 29,000
- 2年目: 29,000
- 3年目: 29,000
- 3年間合計: 87,000
- (4)税額((3)*30%)
- 1年目: 8,700
- 2年目: 8,700
- 3年目: 8,700
- 3年間合計: 26,100
- (5)税額控除
- 1年目: 600
- 2年目: 0
- 3年目: 0
- 3年間合計:600
- (6)差引税額((4)-(5))
- 1年目: 8,100
- 2年目: 8,700
- 3年目: 8,700
- 3年間合計: 26,100
■ 中小企業経営強化税制とは
- ◆ 表 1.
-
類型 A類型
生産性向上設備B類型
収益力強化設備C類型
デジタル化設備D類型
経営資源集約化設備要件 生産性が旧モデル平均1%以上控除する設備 投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備 遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする設備 修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定以上上昇する設備 確認者 工業会等 経済産業局 経済産業局 経済産業局 対象設設備(要件あり) ◆機械装置
◆工具
◆器具備品
◆建物付属設備
◆ソフトウェア◆機械装置
◆工具
◆器具備品
◆建物付属設備
◆ソフトウェア◆機械装置
◆工具
◆器具備品
◆建物付属設備
◆ソフトウェア◆機械装置
◆工具
◆器具備品
◆建物付属設備
◆ソフトウェア税制措置 特別償却(即時償却)または税額控除(10%または7%) その他要件 - 〇生産設備等を構成するものであること(事務用器具備品・本店・寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に係るものは該当しません。)
- 〇国内への投資であること
- 〇中古資産・貸付資産でないこと等
- A類型
生産性向上設備 - 要件
生産性が旧モデル平均1%以上控除する設備 - 確認者: 工業会等
-
対象設備
◆機械装置
◆測定工具
◆機器設備
◆建物付属設備
◆一定のソフトウェア -
税制措置
特別償却(即時償却)または税額控除(10%または7%) -
その他要件
- 〇生産設備等を構成するものであること(事務用器具備品・本店・寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に係るものは該当しません。)
- 〇国内への投資であること
- 〇中古資産・貸付資産でないこと等
- B類型
収益力強化設備 - 要件
投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備 - 確認者: 経済産業局
-
対象設備
◆機械装置
◆測定工具
◆機器設備
◆建物付属設備
◆一定のソフトウェア -
税制措置
特別償却(即時償却)または税額控除(10%または7%) -
その他要件
- 〇生産設備等を構成するものであること(事務用器具備品・本店・寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に係るものは該当しません。)
- 〇国内への投資であること
- 〇中古資産・貸付資産でないこと等
- C類型
デジタル化設備 - 要件
遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする設備 - 確認者: 経済産業局
-
対象設備
◆機械装置
◆測定工具
◆機器設備
◆建物付属設備
◆一定のソフトウェア -
税制措置
特別償却(即時償却)または税額控除(10%または7%) -
その他要件
- 〇生産設備等を構成するものであること(事務用器具備品・本店・寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に係るものは該当しません。)
- 〇国内への投資であること
- 〇中古資産・貸付資産でないこと等
- D類型
経営資源集約化設備 - 要件
修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定以上上昇する設備 - 確認者:*税制大網では詳細不明
-
対象設備
*税制大網では詳細不明 -
税制措置
特別償却(即時償却)または税額控除(10%または7%) -
その他要件
- 〇生産設備等を構成するものであること(事務用器具備品・本店・寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に係るものは該当しません。)
- 〇国内への投資であること
- 〇中古資産・貸付資産でないこと等
- ◆ 中小企業経営強化税制を利用するためには
- 本税制の適用にあたり、経営力向上のための取組みを記載した「経営力向上計画」を申請し、認定を受ける必要があります。 作成には文章の記述や財務分析が必要となるため、専門的な知識や手間を要します。 当社では、「中小企業経営強化法による経営力向上計画作成サポートサービス」をご提供いたします。